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無間書房ラヂヲ第七回で、「篠原歩文学講座」第一回を行いました。聴きに来て下さった皆さん、ありがとうございました!
第一回では太宰治を取り扱ったわけなのですが、そこで太宰のおすすめ作品などを紹介していたところ、まとめ的なものを作ってほしいというご要望をいただいたので、書いておこうかと思います。
作品名は赤字で示しましたので、とりあえず作品だけ知りたいという方は、それを追っていただければ。
まず、太宰を全く読んだことが無い人は「人間失格」を読まないとお話になりません。
しかし、逆に言えば「人間失格」さえ読んでおけば、太宰を読んだのだとある程度はドヤ顔することができます。文学を専攻していない方や文芸に興味の無い方は、これだけ読んでおけば十分でしょう。
もう少し太宰の作品を読んでみたいという方にお勧めしたいのは、中長編では「斜陽」「女生徒」。どちらの作品も女性独白体で書かれているのが特徴です。太宰の女性語りってそれだけで研究テーマになるくらい作品数が多くて、短編でお勧めなら「葉桜と魔笛」「皮膚と心」「恥」「饗応夫人」が短いし読みやすい。ちなみに、僕は「葉桜と魔笛」が一番好きな作品です。
「人間失格」の暗いイメージを払拭させてくれるのは、何と言っても「お伽草紙」。
ページを繰る手が止まりません。本当です。「瘤取り」「浦島さん」「カチカチ山」「舌切雀」の四編で構成されており、エンタメ小説が好きな人はここから読んだほうが良いかも。
あと、「黄村先生言行録」シリーズが滑稽。シリーズの他の作品は、「花吹雪」「不審庵」
僕が太宰っぽいなあと思いながらも、なおかつ読みやすい作品としてはまず「I can speak」「あさましきもの」を挙げます。この二編は、何と言っても短い。「あさましきもの」は「人間失格」の中で語られるエピソードも入っているので、その部分と比べて読んでみるのも面白いです。
さて、太宰の処女短編集は『晩年』と言うのですが、これは彼が遺書のつもりで自己の経験を綴ったことに由来します。
ここに収められたもののなかでも読みやすいのは「列車」、まあまあ読みやすいかなと思ったのが芥川賞候補にもなった「逆行」です。
他の作品はちょっと読みづらいものが多いのですが、「葉」と「道化の華」辺りから取り掛かるのが良いんじゃないかと思います。『晩年』は新潮文庫で出ているのでそっち買っても良いとは思いますが、気合入れないと読み通せないかも。
あとは、僕が個人的に好きな作品を並べておきます。脱稿日順とかでは無いのでご注意を。
「駈込み訴え」
僕は別のところで「日本文学100選」というのを作っているのですが、そこでも上位にいます。風刺精神・翻案精神バリバリなのが良いです。
「おしゃれ童子」
太宰の自意識過剰なところが好きな人は絶対に好きな作品です。当時の服装についての知識があれば、もっと楽しく読めるのかも。
「風の便り」
手紙による二人の作家の応酬がとても力強く、色々なことを考えさせられる作品。特に、自分に言い訳をしてしまっている人におすすめ。
「乞食学生」
面白いです。滑稽、というべきでしょうか。「グッド・バイ」と同じような雰囲気のある作品。
「親友交歓」
課題研究で扱ったので、思い入れの深い作品。百姓の最後の一言が物語りに奥行きを与えています。
「千代女」
これも女性独白体小説です。物を書く人には特に読んでほしい作品。
「花火」
僕はたぶん、何とも言えない気持ちにさせる小説が好きなんだと思います。この作品もその類。
他にも色々あるのですが、あまり挙げすぎてもまとめとして失格かなと思いますので、ここでやめにしておきます。
ここまでに24作品挙げました。太宰は短編が多く、気軽にふっと読めそうな作品から取り掛かってみるのが良いかもしれません。
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